前回の川や平野で、地名の暗記はひとまず終了です。
今回からはここまでに覚えた内容を活用し、日本各地の気候を考えてみましょう。
日本の気候の特徴と聞かれたら、どう答えれば良いでしょうか?
ひとえに日本と言っても、北海道と沖縄では全く異なります。これは主に「気温の違い」なので誰にでもわかるでしょう。しかし、日本海側と太平洋側でも気候は全く異なります。
漠然と北海道は雪が降ると考える生徒は多いですが、果たして北海道ではそんなに雪が降るでしょうか?日本で一番雪が降るのは北海道ではありません。単に寒いだけでは雪は降りません。
気候を決める要素を考えながら、日本の気候を学習してゆきましょう。
気候の三要素
まずは理科の範囲でもありますが、気候は何によって影響されるのでしょうか。
しかし、今は社会の時間です。
では、さらに追及し、気温は何によって変わるのでしょうか?
実は皆さん、1つは知っているはずです。緯度ですね。低緯度(赤道に近づくほど)ほど暑く、高緯度(極に近づくほど)ほど寒くなります。もちろん、それだけではありません。それぞれを詳しくみてゆきましょう。
緯度経度のお話は下記で説明してますのでご覧ください。
A 気温を決めるもの
緯度によって気温が変わるのは、太陽光の入射角度によって、光の入ってくる量が変わるからです。
ただ、それ以外にも気温を決める要素はたくさんあります。
そのうち、中学受験地理で必要な要素は以下の3つ、地形・海洋・標高です。
この先、気候に関する問題を解くときには日本のそれぞれの都市がどのような場所に位置しているかをよく、考える必要があります。
日本国内でもこれら要因が影響している特徴的な気候も存在します。
B 風と降水量
単に風と言っても様々ですが、日本ではおおよその風向きは決まっています。夕方、西の空を見れば明日の天気がわかるとされていますが、それは日本では雲が西から東に流れてくるからです。
このように中緯度地域で常に西から東に吹いている風を偏西風と言います。西から東に吹くのは地球の自転の影響です。

地球の自転

偏西風
しかし、これとは別に、日本には季節によって向きの変わる季節風(モンスーン)と言うものが存在します。この季節風は温かい海を渡ってくることから、湿り気を帯びており、日本各地の降水量に特に影響します。
・どうして季節によって風の吹く方向が変わるのでしょうか?
ヒント:季節風の発生要因
海(水)の性質:温まりにくく、冷めにくい
大陸(土・砂)の性質:温まりやすく、冷めやすい
温かい空気は上がっていく(上昇気流)。
答え:
夏はユーラシア(中国)大陸で上昇気流が発生するため、南東からの季節風が吹く。
逆に冬は太平洋で上昇気流が発生するため、北西からの季節風が吹く。
「風は冷たい方から暖かい方に吹く」(ユーラシア大陸と太平洋の温度差によって)と覚えておきましょう。
・日本海は特に新潟・富山・石川県を中心に冬に多くの雪が降ります。それは何故でしょうか?
ヒント:日本の山地山脈と海流を思い出しましょう。
答え:
冬の北西からの季節風が、暖流の対馬海流の上で湿り気をおび、さらに日本列島上の山地・山脈に突き当たり、その手前で雲が溜まり、雪を降らせる。

風と降水量 夏・冬の違い
日本が属する気候区分
先ほど紹介した通り、日本の気候区分は基本的に温帯です。しかし、地域によっては寒いところ、暑いところも存在します。
しかしこれは単純明快で、北海道は冷帯、沖縄は亜熱帯に区分されます。
ただし、温帯は温帯でも都市によって気候は様々です。雨温図の読み取り方と、各地の詳細な気候は次回学習します。
まとめ
よく生徒たちは勘違いしていますが、気候の単元は暗記分野ではなく、頭で考える分野です。
これまで勉強した各地の地理的要因をマスターしていれば、あとは応用力で対応することが出来る、ある意味お得な単元です。
試験に出た際には絶対に落としてはいけないと、私も口酸っぱく生徒に指導しています。