中学受験 地理シリーズ。第8回目は『気候の原因とそれを決めるもの』です。
前回の講義『日本の川・台地・平野』で学んだ川や平野で、地名の暗記はひとまず終了です。今回からはここまでに覚えた内容を活用し、日本各地の気候を考えてみましょう。
気候の三要素
まずは理科の範囲でもありますが、気候は何によって影響されるのでしょうか。基礎条件として3つ要素が存在します。それが気温・湿り気(降水量)・風です。
しかし、今は社会の時間です。では、さらに追及し、気温は何によって変わるのでしょうか?
実は皆さん、1つは知っているはずです。緯度ですね。低緯度(赤道に近づくほど)ほど暑く、高緯度(極に近づくほど)ほど寒くなります。もちろん、それだけではありません。それぞれを詳しくみてゆきましょう。
緯度経度のお話は『地球上の日本の位置 – 東西南北の端・緯度経度・時差』で説明してますのでご覧ください。
気温を決めるもの
緯度によって気温が変わるのは、太陽光の入射角度によって、光の入ってくる量が変わるからです。日本のような中緯度地域では季節によって太陽の入射角度が変わるため、四季のある気候となります。このような地域は主に温帯と呼ばれている気候区分に属します。
- 温帯の気候の特徴:はっきりとした季節がある!
ただ、それ以外にも気温を決める要素はたくさんあります。そのうち、中学受験地理で必要な要素は「地形・海洋・標高」の3つです。この先、気候に関する問題を解くときには日本のそれぞれの都市がどのような場所に位置しているかをよく、考える必要があります。
色々な温帯の気候
- 温暖湿潤気候 夏の降水量が多い一般的な温帯の気候。日本はこれ。ただし、一部を除く。
- 地中海性気候 夏の降水量が特に少ない。大陸からの乾いた風が吹くため(地形要因)。
- 西岸海洋性気候 緯度が高い割に暖かい。近くを流れる暖流が影響(海洋要因)。
- 高山気候 特殊な気候(温帯に分類はされていない)。緯度に関わらず、標高が高い地域の気候。 年間通して涼しい(標高要因)。
日本国内でもこれら要因が影響している特徴的な気候も存在します。
風と降水量
単に風と言っても様々ですが、日本ではおおよその風向きは決まっています。夕方、西の空を見れば明日の天気がわかるとされていますが、それは日本では雲が西から東に流れてくるからです。このように中緯度地域で常に西から東に吹いている風を偏西風と言います。西から東に吹くのは地球の自転の影響です。

地球の自転
しかし、これとは別に、日本には季節によって向きの変わる季節風と言うものが存在します。この季節風は暖かい海を渡ってくることから、湿り気を帯びており、日本各地の降水量に特に影響します。
- 日本の気候では偏西風よりも季節風が重要!

偏西風
夏の季節風:南東(からの)の季節風
夏の太平洋側の降水量が多くなる。
冬の季節風:北西(からの)の季節風
冬の日本海側の降水(雪)量が多くなる。
季節風についてよく出題されている問題を少し解いてみましょう。
問題1 どうして季節によって風の吹く方向が変わるのでしょうか?
ヒント 季節風の発生要因
海(水)の性質:温まりにくく、冷めにくい
大陸(土・砂)の性質:温まりやすく、冷めやすい
温かい空気は上がっていく(上昇気流)。
▼ 解答をみる

風と降水量 夏・冬の違い
問題2 日本海は特に新潟・富山・石川県を中心に冬に多くの雪が降ります。それは何故でしょうか?
ヒント 日本の山地山脈と海流を思い出しましょう。
▼ 解答をみる
日本が属する気候区分
先ほど紹介した通り、日本の気候区分は基本的に温帯です。しかし、地域によっては寒いところ、暑いところも存在します。しかしこれは単純明快で、北海道は冷帯、沖縄は亜熱帯に区分されます。
北海道の気候の特徴
沖縄の気候の特徴
まとめ
よく生徒たちは勘違いしていますが、気候の単元は暗記分野ではなく、頭で考える分野です。これまで勉強した各地の地理的要因をマスターしていれば、あとは応用力で対応することが出来る、ある意味お得な単元です。試験に出た際には絶対に落としてはいけないと、私も口酸っぱく生徒に指導しています。
この章の関連問題
下記にてこの章の関連問題もご用意しました。
何度も解いて知識を体に染み込ませましょう。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
地理の学習
地理は地形や地名を暗記するだけと思って学習に取り組むと痛い目を見ます。確かに暗記の部分も多くはありますが、関連ワードと地形との繋がりや現在の状況までを把握していくことが必要です。単語帳や白地図への書き込みと同様に記述問題に対応した学習が必要です。
No. | テーマ | 内 容 | 問題プリント |
1 | ![]() |
日本の東西南北の端、位置(経度・緯度)情報、時差の解説 |
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2 | ![]() |
領土、海流、半島を含めた国土の広がりと国際問題 |
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3 | 都道府県、地方名からみる 日本の旧地方区分の解説 |
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4 | ![]() |
県庁所在地、面積、人口、人口密度、政令指定都市を解説 |
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5 | 日本を取り巻くプレートと活火山からみる巨大地震の関係性 |
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6 | 日本の山地、山脈、盆地、海岸を全て解説 |
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7 | ![]() |
日本の川、台地、平野を全て解説 |
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8 | 気候の原因とそれを決める要因を徹底解説 |
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9 | 日本各地の気候から地方の特色を知る |
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10 | 世界と日本の人口を比べて日本を知る |
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11 | 日本が抱える少子高齢化問題を解説 |
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12 | 日本が抱える過疎と過密の問題を解説 |
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13 | 稲作からみる日本の農業、米作り |
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14 | 日本の農業、稲作の問題点を解説 |
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15 | 畑作からみる日本の農業、畑作の盛んな地域 |
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16 |
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日本の農業の問題点をしっかり解説 |
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17 | 畜産が盛んな地域からみる日本の問題点 |
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18 |
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漁業と漁法からみる日本の水産業の問題点 |
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19 | ![]() |
日本の工業の種類、特徴、歴史を解説 |
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20 | 自動車産業都市から知る日本の自動車産業 |
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21 | 日本の四大工業地帯の特徴を解説 |
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22 | 瀬戸内、東海、京葉、鹿島臨海の 工業地帯の特徴 |
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|
23 | 日本の輸出入から見る日本の貿易港、相手国の解説 |
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24 | ![]() |
街道、鉄道、自動車、飛行機からみる日本の交通の歴史 |
|
25 | 日本の交通の歴史を詳細に解説 |
― |
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26 | 日本の交通の歴史からわかる世界事情 |
― |
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27 | 北海道の自然、歴史、産業、伝統工業、世界遺産を解説 |
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28 | 東北地方の自然、歴史、産業、地形、工業を解説 |
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29 | 関東地方の自然、産業、世界遺産、 交通、地形、工業を解説 |
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30 | 中部地方の自然、産業、世界遺産、 交通、地形、工業を解説 |
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31 | 近畿地方の自然、産業、世界遺産、 交通、地形、工業を解説 |
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32 | 中国地方の自然、産業、世界遺産、 交通、地形、工業を解説 |
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33 | 九州地方の自然、産業、世界遺産、 交通、地形、工業を解説 |
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