海外行きの航空券やホテルがネットで誰もが簡単に予約出来るようになり、街中にある旅行会社の店舗の数が近年大きく減少しています。一方、旅に不慣れな人にとって実店舗での商品の対面販売は心強いものがあるでしょう。旅行会社の店舗で、国内外の旅のプロとして活躍しているのが「総合旅行業務取扱管理者」です。
どんなにネットでのチケット販売が増えても、店舗での販売が消えることは決してないでしょう。それよりも、店舗のスタッフにはより一層の旅に関する知識が求められ、「総合旅行業務取扱管理者」資格取得者の需要は益々高まると言えます。またこの資格を有することにより、国内外の旅行商品を扱う旅行代理店の起業も可能となります。
総合旅行業務取扱管理者の概要・難易度
「総合旅行業務取扱管理者」資格は観光庁長官による国家資格です。旅行業法に基づき実施されるもので、日本旅行業協会が試験を主催しています。全国旅行業協会が試験を主催している「国内旅行業取扱管理者」資格とは異なりますので注意してください。
「総合旅行業務取扱管理者」は海外旅行商品を扱う旅行代理店などの店舗に最低1名配置されていなければならないと定められています。国際線の運賃計算や世界の観光地、さらには英語にも精通していることを求められます。
受験者の半数近くが学生である「国内旅行業取扱管理者試験」に対し、「総合旅行業務取扱管理者試験」の受験者の多くは社会人です。「国内旅行業務取扱管理者試験」に合格したら、次のステップとして「総合旅行業務取扱管理者」への挑戦をおすすめします。
「総合旅行業務取扱管理者試験」は合格率から鑑みても難易度は高めの資格になります。
受験資格
国家試験には年齢・国籍といった制限はありません。誰でも受験可能です。
受験の申し込み方法
国内旅行業務取扱管理者の申し込みは願書を作成・郵送して行います。
受験手数料は6500円です。
【申し込みの流れ】
①「一般社団法人 日本旅行業協会」のホームページから願書をダウンロードして作成
※願書は協会本部に郵送請求または直接取りに行くことができます。
②作成した願書を郵送または持参で提出
③受験票を受け取る
試験日程と試験内容
試験日程
総合旅行業務取扱管理者試験は、例年10月上旬に実施されます。願書の受付は7月上旬から1か月程度です。主催する日本旅行業協会のホームページをこまめにチェックしましょう。なお、2020年度の願書受付は8月5日で既に終了しています。
試験内容
試験は「旅行業法及びこれに基づく命令」・「国内旅行実務」・「旅行業約款、運送約款及び宿泊約款」・「海外旅行実務」の4科目に分けられています。「国内旅行業務取扱管理者」資格保持者は前者の2つは免除され、「旅行業約款、運送約款及び宿泊約款」・「海外旅行実務」に学習時間を割くことが可能です。
特に「海外旅行実務」の出題範囲はあまりにも広く、受験者にとって最大の難所と言えます。細かく分けると「国際航空運賃」・「旅行実務」・「語学(英語)」・「出入国関係」・「海外観光資源」の5つとなります。
航空運賃やマイルの計算方法、空港・航空会社コード、通関や入国審査、各国の査証、ホテルの知識、専門用語など覚えることは山のようにあります。さらに、「海外観光資源」は正直何が出るかわかりません。世界中の観光地理の知識が求められます。この資格を取ったあなたは本当に旅行のプロと言えるでしょう。
合格点(合格基準点)
各科目の合格基準点は60点です。このうち「海外旅行実務」は問題数、配点と共に大きくなっています。次に合格率を見てみましょう。
総合旅行業務取扱管理者試験の合格率は10%前後と、非常に低いものとなっています。いかにこの試験が難しいかがわかるのではないでしょうか。受験者数は例年10000人前後となっています。
受験地一覧
試験会場は北海道、宮城、東京、愛知、大阪、広島、福岡、沖縄で、それぞれ指定された場所になります。2020年の試験は10月11日に実施予定です。
総合旅行業務取扱管理者試験の書籍・参考書
総合旅行業務取扱管理者試験を無勉強で合格することは不可能と言っても過言ではありません。資格の専門学校に通う、通信教育講座を受ける、ないしは独学で勉強しなければなりません。
すでに旅行業に従事している方ならば予備知識があると思いますが、ゼロから学習する場合、学習には相当の時間を要します。スキマ時間を有効活用し、反復学習や空き時間に勉強できる参考書を以下に紹介します。ケースに合わせて、効率よく勉強しましょう。