国をあげて進められている観光立国政策のもと、我が国を訪れる外国人観光客は年々増加しています。日本国内、どこに行っても主にアジアを中心とした外国人を目にする機会が増えました。観光客が増えすぎて対応しきれないという嬉しい悲鳴も聞こえてきます。長引く不景気の中、このように活気づく観光業界への就職を目指すという人も多いのではないでしょうか。
近年、増え続ける外国人観光客への対応から、民泊の解禁や、通訳案内士の業務独占規制が廃止されたりと、規制緩和の動きが進んでいるものの、勝手に観光業を始めることは出来ません。それぞれに許認可や資格が必要です。
そんな中でも、就職先として観光業を志望するなら、絶対に取っておきたいのが「国内旅行業務取扱管理者」資格です。
現役の学生さんも資格取得に向けて頑張ってますね。
JRを志望するにあたって、学生のときにチョチョっと勉強して国内旅行業務取扱管理者の資格を取りました。
面接でも聞かれたので、こういう業界を目指す学生さんは取っておいて損じゃないですよ。総合はカタカナが苦手すぎるし、JRを志望する上での資格としては国内で十分だったので、諦めました。
— のどか@よーそろー (@nodoka_510) November 19, 2019
国内旅行業務取扱管理者の概要・難易度
「国内旅行業務取扱管理者」資格は観光庁長官による国家資格です。
旅行業法に基づき実施されるもので、全国旅行業協会が試験を主催しています。日本旅行業協会が試験を主催している「総合業務取扱管理者」資格とは異なりますので、注意してください。「国内旅行業務取扱管理者」は国内旅行を扱う旅行代理店などの店舗に必ず1名配置されていなければならないと定められています。
「総合業務取扱管理者」に比べれば、合格率から鑑みて難易度は低めです。
受験資格
国家試験の受験資格には、年齢・国籍の制限はありません。老若男女問わず受験できます。
受験の申し込み方法
国内旅行業務取扱管理者の申し込みは願書を作成・郵送して行います。
受験手数料は5800円です。
【申し込みの流れ】
①「一般社団法人 日本旅行業協会」のホームページから願書をダウンロードして作成
※願書は協会本部に郵送請求または直接取りに行くことができます。
②作成した願書を郵送または持参で提出
③受験票を受け取る
試験日程と試験内容
試験日程
国内旅行業務取扱管理者試験は、例年9月上旬に実施されます。願書の受付は6月中旬から1か月弱と短くなっていますので気を付けましょう。尚、2020年度の願書受付は6月16日から7月6日までで、既に終了しています。
試験内容
試験は「旅行業法及びこれに基づく命令」・「旅行業約款、運送約款及び宿泊約款」・「国内旅行実務」の3科目に分けられています。このうち、前者2つは非常に専門的であり、よほどの観光マニアではない限り、勉強無しで合格するのは難しいです。
「国内旅行実務」は業務に関する実務処理、鉄道やバス、フェリーなどの運賃計算、国内観光地の知識などについて問うものであり、コアな旅行好きならばさほど勉強しなくとも合格は出来るかもしれません。
なお、一部科目のみ合格点に達している場合、翌年の試験ではその部分は免除となりますので、一度受験して不合格だった場合は、不合格の科目を集中して勉強することも可能です。また、国内旅行業務取扱管理者の合格者は「全国通訳案内士試験」一次試験で日本地理の科目が免除されます。
合格率(合格基準点)
各科目の合格基準点は60点です。こう見ると、案外簡単なのではと思うかもしれませんが、本気で勉強しないと合格は難しいです。次に合格率を見てみましょう。
以前は3割を切っていた合格率ですが、近年上昇傾向にあります。全科目受験者の合格率ですので、一発合格する人が増えているようです。受験者数はここ数年は14000人程度で推移しており、その半数が学生です。
受験地一覧
試験会場は北海道、宮城、埼玉、東京、愛知、大阪、広島、福岡、沖縄で、それぞれ指定された場所になります。
なお、2020年は9月6日に実施予定ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今後のスケジュールが変更になる可能性もあります。最新の情報に注意してください。
国内旅行業務取扱管理者の書籍・参考書・過去問
国内旅行業務取扱管理者試験を無勉強でそのまま受験するのは無謀です。一部の大学では、土曜日や夜間などに特別な対策講座が設けられていることもありますので、有効活用しましょう。とはいえ、家での反復学習や空き時間に勉強できる参考書は必須です。ケースに合わせたおすすめ参考書を以下に紹介します。
一発合格!国内旅行業務取扱管理者試験テキスト&問題集 2020年版
旅行業務取扱管理者試験 標準テキスト 2旅行業法・約款 2021年対策
2020年版 ユーキャンの国内旅行業務取扱管理者 過去問題集